ゴミの不法投棄顛末記
2016/01/13
私の家の横（敷地の中）に数ヶ月前（２０１５年の秋）から時々ゴミが不法投棄されるようになった。
私の家は通勤通学路の脇に建っているので、空缶やらは時々置いて行く人がいるのは不愉快ではあるものの、まぁ、半分はしょうがないといった感じで受け止めていたのである。
しかし、今回の不法投棄は明らかに「歩いている最中に飲み終わってしまい、捨てる場所が無いのでしかたなく・・・・」というレベルではないのである。
明らかに「ゴミをこの場所に廃棄しよう」という意図が伺われる量だったのである。
さて、こういう誰が？何時？どうやって？・・・・と肝心なものが不明なものをどうするか？・・・・というものはけっこうヤッカイで、もし誰が何時というのが判ったとしても、個人としてどう対処するかがなかなかヤッカイなのである。
結局最後は警察に動いてもらって犯人を特定してもらって始末書を書いてもらった（という話である）のである。
しかし、この一連の成り行きで、同じような事で悩んでおり、警察に相談もしているのに成果が無いと悩んでいる人がけっこういるのに気が付いた。
私が思うにその人達（ゴミを不法投棄されて悩んでいる人達）は警察というか大きな組織がどういう理由で動くのか理解していないのである。
ということで、どういう経緯で警察が動いたのか書こうと思うのである。
９月頃からだろうか、私の家のゴミ箱の横にゴミの不法投棄が起こるようになった。
面白いことに網のついたゴミ箱には入れず、必ず横に置いてあるのである。
内容は近所のコンビニの袋に入ったお菓子の空き袋、食べ終わった惣菜のトレイ、飲みかけのコーラやお茶、といったものだった。
最初は量も少なく週に一回程度で、「コンビニの前にタムロしている子供が、おやつを食べて帰る途中に放棄していくのかな？」といった感じだったのである。
ただ、その割には何本も入っているジュースの内容が大部分残っていて、あまり飲んでいないのが気になったのである。
子供だったら（中高生）こんな無駄なお小遣いの使い方はしないンじゃないだろうか？という感じなのである。
こういうゴミはすぐに片付けないと「ここはゴミを捨てて良い場所だ！」という印象を与えてしまい、他の人もどんどん捨てるようになるのである。
これは「ブロークン・ウィンドウ理論」というもので、厳密に正しいかと言われれば「時と場合による」としか言えないことなのだが、軽犯罪（ゴミのポイ捨てなど）に関してはけっこう当てはまると思うのである。
実際、自分に置き換えてみても、ちょっとしたゴミを捨てたい（駅でもらったパンフレットなど）場合、整頓されている花壇に捨てようとは思わなくても、ゴミのイッパイあるゴミ捨て場なら抵抗無く捨てられるのである。
ゴミの内容も毎回同じような感じで、どうやら同一人物が意図的にこの場所を選んでやっているなという意思が感じられたので、「これはなんとかせねば！！」と思うようになったのである。
問題は、「何時」、「誰が」ということで、まず人物を特定出来ないと話にならないし、もし、特定出来たとしても「どう対処するか？」という問題が残るのである。
ただ、基本的に廃棄物の不法投棄は警察の領分のようなので、個人的に苦情を当人に言うにしても第三者の警察にも言っておく方が良いだろうというという感じである。
そこで、犯人を特定するための情報収拾と、具体的な被害をまとめることにした。
こういう客観的な情報はけっこう重要で、第三者に納得してもらうためには絶対に必用な物であるが、どうも普通の人はこういうメモを取りたがらないのである。
たとえば、私の姪っ子は最初に働き出した会社の勤務時間が異常に不規則で長く、どう見ても不当労働としか思えない、いわゆる「ブラック企業とかブラックバイト」のようなのだったが、私が客観的な状況を把握するために、「せめて毎日の出勤時間と退勤時間、休息の時間を書きとめておけ」と言っても、めんどくさがってメモを取らないのである。
これではただの感情的な苦情となるだけで、客観的な数字が無いとどう対処もしようがなかったのである。
また、私の参加していた仕事でも、とあるプロジェクトで遅延が発生して問題になったとき、そのプロジェクトの顧客のリーダーはエンドユーザーから出た無理な仕様変更を遅延の理由に上げるのだが、具体的にどんな仕様変更がどのタイミングで出たかちゃんと整理していなかったりするのである。
そうなると、エンドユーザーのお偉いさん達からは「そもそも、仕事をちゃんと管理していないから遅れたンじゃないか？」という意見が出てしまうのである。
ということで、とにかく第三者（今回は警察）に納得してもらうために不法投棄の状況と、それによる被害をメモしていくことにしたのである。
主に以下のことをまとめるのである。
１、状況
どんな不法（と思われる）行為が起こっているのかを具体的に書き出す。
２、被害
被害が無いものは相手にしてくれないので、具体的に「こんな酷い目にあって、こういう損害を受けた」ということを書き出しておく。
３、証拠
これがけっこう重要で、写真はもちろん必用なのだが、それだけではなく現物が必用なのである。
現物といっても全部を取っておく必要は無いのだが、最後の日の分（警察に届ける日）だけは全部必用なのである。
そして数ヶ月も情報収集すると、なかなか興味深いものも出て来るのである。
まず状況を記録していくということで、ゴミの不法投棄があったら、以下のような情報を記録しておく。
１、不法投棄された場所と日時：異常の無かった時刻〜廃棄物を発見した時間
２、写真：今はデジカメなので、廃棄された状態と、内容物を広げた明細の写真を撮っておく。
左の写真２枚は典型的な状態のゴミで、きっちりと結ばれたコンビニの袋にぎっしりと入っている。
きっちりと結んでいるのは、かなり長距離を持って移動したのか、自転車の籠に入れて移動したのかどちらかで、歩いてすぐとは思えないのである。
内容物はジャンクフードとお茶とコーラ、しかもお茶にはストローが刺さったままで、しかもほとんど飲んでおらず大部分が残っている。
お茶は複数入っているのだが、何時も必ず刺さっているストローが一本なので、お茶を飲んでいるのは一人だけだということが推測できる。
これだけの液体が入っていると、全体の重量はかなりのものになり、おそらく運んできて廃棄しているのは男性だと思われるのである。
右端に「レノア」という洗濯するときに使用する芳香剤のカラが入っているので、おそらく女性が住んでいると推測出来るのである。
３、内容物の概要：コーラが何本、ジュースのパックが何本、お菓子の袋が多数とか、その他ちょっと変った物が入っていたら写真と文章にしておく。
４、犯人に繋がるような物があった場合は、その現物を取っておく。
※けっこう数ヶ月もかかるので、メモをちゃんと取らないと自分でも判らなくなってしまうのである。
また、何ヶ月もやっていると、これだけでもけっこう犯人の行動パターンが見えてきたりもするのである。
次に具体的な被害をメモしておく。
まず損害として上げるのはゴミの撤去費用と手間である。
私の住む地域のゴミの収集は有料で（有料のゴミ袋を購入してそれに入れて捨てる）、当然ながら有料の袋に入れていないゴミの収集はしてくれない。
つまり、他人のゴミを捨てる場合でもお金がかかるのである。
次にゴミの分別の手間である。
私の住む地域では「燃えるゴミ」、「包装のビニール類」、「不燃物」、「古着」、「空き瓶、空缶」、「危険物」などなどイロイロ分別しなければならず、それぞれに専用の袋が必要だし、ちゃんと分別していないと持っていってくれない。
つまり、他人のゴミの分別も私がやらなければならないのである。
しかも、ゴミの収集には曜日が決まっており、「燃えるゴミ」は週２回、「燃えないゴミ」は週１回、「空き瓶、空き缶」は週１回と、他人のゴミを分別をしてその日まで保管するという不愉快なことをしなければならないのである。
他人のゴミを保管するなどということは本当に不愉快で、精神的にキツイのである。
単純に不愉快だ！！というのもあるのだが、このへんも出来るだけ具体的に書いた方が良いようである。
今回私は「ジュースやお菓子の残り物に虫がたかって衛生状態が悪化した」とか、「こぼれたジュースで建物の塗装が傷付いた」とか、だいぶ盛ってしまったのである。
しかも、警察には言わなかったが、実際は分別した後にそのゴミはその日のうちに、おそらくそれらを買ったであろう近所のコンビニのゴミ箱に廃棄してしまい、保管などは実際はしていなかったのである・・・・・
ゴミの分別をしなければならないので、ついでに証拠固めで、廃棄されたゴミの情報を収集することにした。
どちらにしても、ゴミを分別するときに内容を確認しなければならないのである。
情報を集め出すと、だんだんプロフィールが解明されてくる。
どうやら当初考えていた「子供がおやつを食べて、そのゴミを廃棄している」というものではないらしい。
特徴的なのがジュースで、たいていはコーラとお茶のセットなのである。
パックのお茶にストローが刺さったまま、しかもお茶もコーラも大部分が飲み残して捨てられている。
お菓子はポテトチップスのようなジャンクフードばかりであり、しかもかなり内容物が残ったままのものが廃棄されているのである。
したがってジュースがこぼれてビニール袋の中はジャブジャブのドロドロ状態なのである。
飲み物がコーラとお茶という対照的な物で、お菓子も辛めの物とチョコレート系の物がはっきりと二種類で、おそらく複数人数のようなのである。
そしてそのうちの一人は確実にコンタクトレンズを使用している。
そのコンタクトレンズの洗浄液も、「プチケア」という低価格のものだし、ポテトチップやらチョコレート系のジャンクフードが非常に多いので、けっこう若い人達のはずである。
時々コンビニの袋の中に、ちょっとした安い耐久消費財でまだ使える物が捨てられていることがある。
しかも、なかなかカワイイ感じの物だし、三番目の写真のときも入っているが、洗濯するときのレノアという芳香剤が入っているので、おそらく一人は女性なのである。
時々料理をしているらしく、買い物をすべき食材のメモ（たまねぎとか、卵とか書いてある）が入っているので、間違いなく女性が含まれているのである。
こうなってくると、だんだん情報収集も楽しくなってくるのである。
もしかすると自分にはストーカーの素質があるのかもしれない・・・・などと思ったりもするのである。
この犯人はどうやらちょくちょく100円ショップに行って、なんだか良さそうとだと思って購入するがすぐに飽きてしまい、そのまま捨てるという行動をしているようである。
この写真のときも、そう痛んでいるようにも見えないポロシャツが入っていたし、その前には濡れたままのバスタオルが入っていたこともあったのである。
そういうことを総合的に見ると、この犯人はかなり雑な生活をしており、気軽に物を買っては気軽に捨てる性格なようである。
精神衛生上はあまり高級な感じがせず、フリーター同士のバカ・カップルかもしれない。
私がゴミを出すときにはまだ無く、早めに帰宅したときにあったりするので、そういうことを何回か繰り返すと、どうやら捨てる時間帯は朝遅めか昼頃らしい。
当初考えていた子供〜学生ではないようである。
出勤時間がそう早くはないようなので、職業は製造業、金融系では無いはずなのである。
廃棄された曜日は月、水、木、土で、本降りの雨の日に廃棄されたことは無い。
火曜、金曜、日曜に廃棄されたことが無いので、おそらくはそのうちのどれかの曜日が休日なのだろう。
情報収集を丹念に続けていたら、とうとうある日のゴミの中に個人情報の書かれたものが入っていたのである。
ちょっと信じられないのだが、入っていたのは以下のようなものだった。
１、住所を書いたメモ
調べると、この住所にはとあるアパートが建っており、駅から私の家を通り過ぎ、かなりの距離を行った場所である。
かなりの距離があるので、おそらくは通勤では自転車を使っているのではないだろうか？
２、宅配便の伝票
ズタズタに破けており、コーラに浸っていたのだが、洗って乾かして丹念に部品を集めてセロテープで綺麗に留めていったらちゃんと解読出来るようになったのである。
ズタズタといっても意図して破いたものではなく、おそらく荷物を開封するときにじゃまなので数回破いたといった感じなので、部品収拾も楽だったのである。
送り元は北品川のとある超高層マンションに住む人で、住所に見覚えがあると思ったら、昔私が働いていた顧客のビルのすぐ近くなのである。
ここは「御殿山」と言われており、あそらく相当のセレブなのである。
受取人は杉並区の男性で、次の「給与明細」の苗字と同じなので、おそらくは犯人の父親なのであろう。
ストリートビューで見ると、そこには大きなアパートが建っており、どうやらそのアパートの大家のようである。
おそらくこの犯人は、何らかの荷物が実家に送られたものをそのまま持ってきて、こちらのアパートで開封したのだろう。
３、給与明細
笑ってしまったのがこの給与明細で、残念ながら事業所名が入っていないので何の会社かは判らないのであるが、それでもイロイロな情報が読み取れるのである。
なにより犯人もしくは犯人と関係のある人の名前が判明してしまったのである。
まず、給与計算の単位が週給だということで、土曜日〜金曜日が計算対象の週給でなのである。
そしておそらく週６日制（週休２日ではないようである）で一日の勤務時間は８時間。
その基本給が時間あたり900円、それ以外にも手当という名目でそれなりの金額が加算されているし、はっきり明記はされていないが、どうやら残業代金とか休日手当のようなものがありそうなので、まぁまぁマトモな会社なようである。
所得税は引かれている、つまり源泉徴収をしているのだが、雇用保険とか厚生年金が引かれていない、つまりアルバイトなのである。
基本給と基本の手当だけで計算すると一ヶ月4.3週平均として、だいたい月収は残業混みで２０万円くらいになり、まぁ、若い人の平均といった感じである。
なんと言っても「寮費」というものが天引きされており、週に7000円、日に1000円、月に換算すると31000円でマァマァな感じである。
あと、前払い金として常に二万円が差し引かれており、おそらく働き出すときに「とりあえず二万円は前払いで今現金であげるよ」という契約をしているらしい。
どうやらそのアパートは会社が借り上げて社員寮として使っているらしく、ちょっと情報収集すれば会社も特定出来そうである。
会社の寮があるということは、地方から出てくる人を雇うのが多い会社なはずなのである。
しかも、数日〜数週間程度の超短期ではなく、数ヶ月以上の比較的長い、つまりそれなりに経験がものをいう職業のはずなのである。
9月の連休の週が異常に労働時間が多いので、おそらくは小売の店員とかそういった類の商売かもしれない。
しかし他人の家に不法投棄するゴミの中に、自分を特定されるような書類をシュレッダーにもかけずに入れるというバカな神経は私にはサッパリ判らないのである。
もっともおそらく私の感覚は間違えており、事実はその逆で、そういう神経の人だからこそ他人の家の前に平気でゴミを捨てられるンだろうという気もするのである。
とすると、一般的に不法投棄のゴミを丹念に調べていれば、遅かれ早かれ不法投棄をする人は自分を特定出来る情報をゴミの中に入れてしまうという気がするのである。
実際にこの人（不法投棄をする人）は、これらの個人情報が書かれたものを一回ではなく複数回捨てているのである。
そして、こういう情報を見ていると、だんだん私の想像していた人物像も変更されてくる。
当初はコンビニの前でタムロする数人の子供だと思っていたのだが、どうやら複数人数でアパート住まいをする２〜３人の人達で、その中には女性が含まれる。
「タマネギ」とか食材のメモが入っていたことがあるので、それなりに自炊もしているようである。
その人達は数日おきくらいに帰宅途中でコンビニに寄り、惣菜とお茶もしくはコーラを買って帰って家で食事をし、数日経ってゴミが溜まってくると適当な袋に入れて出勤途中の私の家の前に捨てるという感じである。
ただ、私にはなんとしても解せないのが、本当の意味の生活ゴミが入っていないことである。
たとえば鼻をかんだティッシュとか、残飯とか、本当に汚いものが入っていないのである。
これはどういう意味なのだろうか？
おそらく、そういう「燃えるゴミ」はちゃんと自分で始末しており、それに入れにくい「燃えないゴミ」を私の家に捨てているようである。
なんとなく、そのへんのアンバランスがちょっと疑問なのである。
おそらく二人以上で生活しており、そのうちの一人はちゃんと燃えるゴミを始末しており、もう一人が不法投棄の担当なのだろう。
そしてついに私は「監視カメラ」を購入して犯人の撮影を試みることにした。
いったいどんな人物なのだろうか？
※実際にはゴミの不法投棄が始まって一ヶ月くらいした頃には監視カメラを設置しようと思うようになったので、ゴミの情報の収集をしながら監視カメラを選び始めたのである。
まず、監視カメラにはどんなものが良いのか？
条件を書き出してみる。
１、電池で動くこと：家の横なのであるが、この程度のことではまだ電源などの線を引きたくないのである。
２、人が来ると撮影開始するもので、撮影しっぱなしではないもの：１とも絡むのだが、大掛かりなハードディスクを備えた録画機器を必用としないものでイロイロ試したかった。
３、小型であること：わざと「監視カメラがありますヨ！！」と宣伝して犯罪者を忌避させるという手はあるのだが、私は今回の事案は是非とも犯人を見てみたいと思ったのである。
４、価格が安いもの：今回のこのことで、ちゃんとした監視カメラを設置することも考えたのだが、まぁ、正直なところあんまり大げさにはしたくないし、もし本格的なカメラを付けるのなら、試験としてそれなりのノウハウ「どの場所に、どんな角度で、何台取り付けるのが有効なのか？」ということを試したかったのである。
ということで、ネットでいくつか調べて選んだものが「DVR-Q2」というものだった。
このカメラは電池で動作する小型のもので、値段も１万２千くらいのものだった。
これが今回ブロック塀の上に設置した最終形のもので、この形態でうまく撮れたものである。
カメラの台は、ブロック塀の上に花を植えるプランターを設置する金具に小さなアルミ製のパンチングメタルを組み合わせて作ったものである。
カメラで写真を撮る人は判ると思うのだが、屋外にカメラを設置すると意外と風の影響が大きく、それなりにちゃんと締め付けないと揺れたり、落ちたりするのである。
そして、あまりにも簡単に手が届く場所だと壊されたり、最悪は持って行かれる可能性も大きくなるのである。
実際はこの形態にたどり着くまでにずいぶんイロイロな設置を試みては失敗しているのである。
ゴミを廃棄する人の目線からするとこんな感じになり、神経質な人でないと気が付かないのである。
ただ、この製品を一台で使うのには問題が三点あり、何らかの対処が必要なのである。
その一つはこの製品が防水でないことで、設置するのが屋外なので雨や露がかかるのである。
そこでイロイロなことを試してみたのである。
透明なプラスティックを被せてみたり、ペットボトルを切って被せてみたり、防水のジップロックを被せてみたりしたのだが、あまり大げさにやるとカメラが目立ってしまうのである。
ペットボトルは綺麗な画像が撮れるのだが、困ったことに赤外線を通さないらしく、人が来ても撮影スタートをしてくれないのである。
結局一番目立つことなく綺麗で確実な画像が撮れるのは、キッチンで使う普通のラップでキッチリ包むのが一番防水にも画像にも良いという結果になったのである。
特にレンズの部分には皺が無いようにピッタリと貼り付けないと、夜間の赤外線がハレーションを起こして画像が取れなくなるのである。
二番目の問題は、そもそも犯人がどの方向から来るか判らないということで、カメラをどう設置するのかという問題なのである。
特に私の家の場合は、廃棄される場所が道路からちょっとだけではあるが引っ込んだ場所で、しかも両側に塀があるので、ゴミを廃棄する瞬間を撮影しようとすると、真上から撮影するか道路の反対側から撮影しないとその瞬間が写らないのである。
贅沢を言えば廃棄される地点を含んだ映像を３台のカメラで撮影したいのである。
つまり、右から来た場合、左から来た場合、そして廃棄する瞬間を真上かもしくは道路の反対側の家の塀に設置するかである。
残念ながらそんな贅沢は出来ないので、一台のカメラをイロイロな場所に設置してカットアンドトライを重ねたのである。
三点目はカメラの性能に関するもので、このカメラは人を感知してから撮影が開始するまでに約５秒かかるのである。
５秒というのは相当な時間で、普通に歩く人の速度は秒速１ｍを超えるのである。
人を感知可能な距離は試験してみると正に５〜８ｍくらいなのである。
とすると、真っ直ぐにスタスタと歩いてきてさっと捨てられてしまうと映像が間に合わないのである。
カタログを見ると、内部の電池ではなく外部電源を使った場合は人を感知してから撮影が開始される時間が２秒に短縮されるそうなのである。
そこで、電気屋でスマートフォン用の予備バッテリーとして売られている５Ｖの充電式電池を購入して繋いでみるのだが、正直なところ動作がそう速くなったようにも見えないのである。
まぁ、気は心ということで、晴れた日にはバッテリー駆動させたものを設置してみるのである。
あと、監視カメラの多くは頭上数メートルに設置することが多いようだし、その方が破壊やイタズラはされにくいのだが、写してみると意外に人の顔が判り難い場合があるのである。
犯人はせっかく写っているのに頭だけで顔が判らなかったりするのである。
なによりも監視カメラが目立つので、防犯には良いが、犯人特定をするのには向かないと思うのである。
可能なら、なるべく２m以下、要するに目線の高さが表情もハッキリ写るのだが、あまりにも発見されやすい。
意外と低い位置から写すのも気が付かない可能性もあるのである。
もっとも、あまり低い位置だと今度は「盗撮だ！！」と言われてしまう場合があるので、別の危険が出てくるのである。
なんだか面白いもので、ゴミを投棄された当初はすごく不愉快で、「今日はゴミがありませんように」と、毎朝祈る感じだったのだが、監視カメラを設置すると一転、「どうか今日は捨てに来てくれて良い映像が撮れますように」という
本末転倒な気分になるのである・・・・(^^；
今回は前記のようにゴミの中に犯人を特定出来る情報が入っていたので無事に解決出来たのだが、それが無かったらどうしたかと言えば、監視カメラの映像で人物を覚え、ゴミを投棄する時間帯を記録して張り込みを行い、気付かれないように後を付けて住所を割り出すということをしなければならない。
ただ、こういう場合、女性がからむとけっこう神経質に扱わなければならなくなり、その点は嫌な気分なのである。
つまり、言いがかりをつけようと思えば一種のストーカー行為とかになりかねないのである。
張り込みをする前に、証拠が集まったら中間報告のように警察に届けておいて、「ゴミの不法投棄を解決しようとしている」ということを、ちゃんと第三者に言っておかないと危険な気がするのである。
さて、監視カメラを設置すると不思議なことにパタッと不法投棄がなくなり、「もしかすると監視カメラに気が付いたか？」という気分にもなるのである。
ところがどっこい、油断してカメラを設置しない日に限って不法投棄があったりして、思わず頭をかきむしりたくなったりするのである。
オマケに監視カメラの設置場所が良くなくて、何にも映っていないのにゴミだけがあったりすると、今度はストレスが数倍になったりするのである。
そこをグッとこらえて、こっちに設置してみたり、アッチに設置してみたりと、とにかくイロイロ試していて、とうとうある日、バッチリな映像が撮れたのである。
こういうときの達成感というものは今までの苦労が吹っ飛ぶほど大きいもので、私としては思わず不法投棄の犯人にお礼を言いたくなるほどのものだったのである。
これがカメラの動画の最初のコマで、カメラが人を感知して映像を記録し始める頃には５秒程度の遅延があり、犯人は通り過ぎる寸前なのである。
彼は画面の奥の方から歩いて来て、どうやら少し通り過ぎて回りに人がいないことを確認してからゴミを投棄しようとしているのである。
もし彼がそんな確認をせずに通り過ぎざまに投棄してそのまま通り過ぎてしまえば、この映像だけでは顔は確認出来なかったはずなのである。
実際には、彼は数秒後に戻って来て、右手に持ったゴミを投棄しようとしているのである。
彼の視線は私の家の玄関方向に向いており、もしかすると以前、投棄しようとしたときに私とバッタリ鉢合わせしそうになったことがあるのかもしれない。
顔つきはなかなかのイケメンな若者で、この写真を中年女性達に見せると全員が「ステキな男性だ」という意見で一致するのである。
彼は、ここまではかなり慎重に行動しているのだが、最後に投棄するときはいくぶん焦っているようで、手を離すタイミングが早すぎ、空缶がかなり大きな「ガチャン！！」という音を立ててしまっているのである。
彼はだいぶビクビクと緊張しているようで、そんな緊張をしてまでゴミを不法投棄したいものなのだろうか？
投棄し終わった時には、彼は明らかに安堵の表情を浮かべており、最後にゴミを一瞥すると身を翻して足早に駅の方角に向かうのである。
※警察に届けを出す準備
ゴミの不法投棄という軽犯罪（だと思うのだが）のようなものは、よっぽどのことがないかぎり警察は何もしないはずなのである。
まぁ、せいぜい「その地域のパトロールを増やします」くらいの対応になる可能性が大きいのである。
先日もニュースを見ていたら、高層マンションの上層階から隣りの駐車場にイロイロな物が投げ落とされているのに、警察は何もしてくれないというような話題が流れていた。
警察というか大きな組織は、そう簡単には動かないのである。
私がよく行く銭湯で、常連の人達に今回のゴミの不法投棄の話をすると、わりと同じような経験をしている人もいて、警察に届けを出した経験のある人もいるのである。
その人達は異口同音に「警察に言ったって何にもしてくれないし、何も変らない」ということを言うのである。
その意見にはある種の真実はあるのである。
私はあまり警察に行ったことは無いのだが、若い頃に「車上荒らし」にあった時に交番に被害届けを出した事はあるのである。
そのときには警察という組織があまりにも何もしない組織だったので頭に来ていたのだが、その後大きな組織で仕事をさんざんやった今の私からすると、「大きな組織は往々にして、こんなことになるよナ〜」と、我が身にも心当たりが出来てあまり文句は言えなくなるのである。
それは普通の人でもちょっと考えれば想像付くはずなのである。
組織が大きくなると、当然管理も厳しくなってくる。
そうしないと、誰が何をしているか判らなくなり、全体の仕事の効率が落ちるのである。
その管理を定型的な手法「要領とか言ったりする」で行うと官僚組織となり、警察は正にそれで動いているのである。
それは現場で動く下っ端からすると、何をするにも上司の許可が必要になるという状態ということなのである。
とすると今度は、「上司が許可を出すということはどういうことか」という問題になるのである。
これは普通のサラリーマンでも同じことで、誰でも日々行っていることなのに、どういう訳か皆は警察にはあまりそういう配慮をしないようなのである。
上司が部下を動かす動機は要するに「動かすと成果がありそうだ」と思うかどうかなのである。
「あの会社に行って話しをすれば、何か買ってくれそうだ」とか、「あの人に言えば問題が収まりそうだ」とか思えば、部下に「お前行って話してこい」ということになるのである。
どんな組織でも、成果が上がりそうだとマネージャー（現場の担当者ではなく、その人達に命令を出せる人達）に思わせれば現場は動くのである。
特に警察は確か点数制度で動いている組織なのである。
強盗殺人犯を検挙したら何点、窃盗犯を現行犯逮捕したら何点という感じで動いているらしいのである。
当然、個人の生活ゴミの不法投棄なんぞはろくな点数が付くわけもなく、おそらく警察からすれば「そんなことに係わるのはご免だ」くらいの感覚なはずなのである。
ところが、銭湯で会ったオジサンや、後で出てくる交番で出会った老人達は、ゴミの不法投棄の訴えをほとんど何も情報が無い状態で訴えているのである。
つまり、ただただ「何処の誰か判らない人が、何時の間にかゴミを捨てて行きました」程度の訴えを口頭でしているだけなのである。
これでは警察でなくても困ってしまうはずなのである。
まぁ、気持ちは判らないでもないのだが、どうも皆さん権威筋（警察とか医者とか）には過大な期待をしすぎているようで、あるお医者さんが書いたエッセイに以下のようなことが書いてあったのである。
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診察室に入って来て椅子に座ったとたん、まだ何も話さないうちに「先生には私の病気が判りますか？」と言い出す患者さんがけっこういて、私は思わず「占い師じゃあるまいし、何も聞かずに判るわけないでしょ」と言いたくなる。
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確かに専門家ではあっても超能力者ではない普通の人なわけだから、何をするにもそれなりの情報が必要なのである。
警察が普通の人より有利なのは、車のナンバーから所有者を割り出せたり、大っぴらにイロイロな個人情報を聞くことが出来る程度のことくらいなのである。
しかも、それなりの給与をもらっている人達を動かすには、単位時間当たり相当の成果が期待されてしまうのである。
そんな組織を動かすには、よっぽど「美味しい」と思わせる動機が必用なのである。
「美味しい」とは、たいしたことはしなくても成果が上がるということで、以下の三つの情報が必要なのである。
１、犯人がもう特定出来ていて、何時何処に行けば犯人に会えるかほぼ判っている。
２、その犯人が間違いなく犯罪を犯していて、勘違いではない証拠がある。
３、上記二つを担当者がその上司にうまく説明して説得できるような資料がある。・・・・・※これが大事
まぁ、要するにほぼ全ての段取りをつけておいて、あとは行って捕まえるだけというところまで用意してあげることなのである。
※警察に行って届けを出す。
一通り警察に届けるだけの資料はそろったのだが、私はもうちょっと確実にしたかった。
それは、犯人がはっきり写った動画をもう一つ欲しかったのである。
何時だったか、テレビで浮気調査の探偵の仕事を紹介した番組を見たときに、浮気現場を写した写真なり動画は可能なら二回以上欲しいと言っていたのである。
つまり、「今回が初めてです、出来心です」という言い訳をさせないためだそうである。
確かに私の家に廃棄されるゴミも、もし犯人が「今回が初めてです、今までのゴミは私ではありません！！」などと言えば、証拠としては薄いのである。
しかし、複数回写っていれば逆に「何回もやっているということは、今までの事は全てお前の仕業だ！！」と言えるわけである。
ということで毎日カメラを仕掛けて待っていたのだが、上の動画が撮れた日を最後にゴミの廃棄がパッタリと止まったのである。
「もしかしてカメラを設置したことがバレたのか？」とか、「アルバイトが終了して引っ越したか？」とか、本来なら喜ばしいことなのに、これだけ努力をしたものが終了したかもしれないと思うとガッカリという、なんだかモヤモヤした気分になっていたのである。
それでもなんとか毎日カメラを朝設置して夕方取り込み、夜充電するということを繰り返していたある日、普段は私がゴミを出すついでにカメラを設置するのだが、その日にかぎってゴミを出す時間にカメラの設置を忘れてしまったのである。
家に入ってから気が付いたのだが、「まぁ、今日も不法投棄は起こらないだろうから、出かける時に一応設置すれば良かろう」と怠けてしまったのである。
すると、本当にマーフィーの法則どおり、そういう日に限ってゴミの不法投棄が起こるのである！！
出かけるときにゴミを発見したときのショックは相当なもので、思わず「なんで〜！！！」と、頭をかきむしりたくなったのである。
もちろんそのショックは、ゴミを不法投棄されたことに対してではなく、自分が怠けてカメラを設置していなかった事に対してのショックだったのである。
私はそのショックと自分に対しての怒りに我を忘れて警察に届けることにしたのである。
※今思えば私もまだ修行が足りない・・・・
今回は、犯人もしくは犯人に繋がる人の住所と苗字、そして犯人の顔までは私の方で突き止めてあるので、半日もあれば何らかの成果が見込まれるはずなのである。
極端に言えば、別に警察に言わなくても私個人でも夕方数時間張り込めば犯人と話が出来るはずなのである。
そのくらいまで固めておけば警察は動くはずだと思っていたのである。
まず、警察に行く準備として、以下の物を用意した。・・・・・ずっと用意はしてあって今日の分を追加してすぐ印刷したのである。
１、不法投棄の状況と被害の状況を書いた文章（このＨＰのようなもの）
２、不法投棄を記録した写真と明細、不法投棄したときの動画から切り取った犯人の写真
３、犯人に繋がる情報が判った廃棄物の実物
４、今日廃棄された現物はそのままに家の前に残しておいた。
近所の交番に行くか、ちょっと離れた警察署に行くか迷ったのだが、すっかり頭に血が昇っていた私は、上記の印刷物を持って駅の交番に行ったのである。
交番に行くと、数人の老人達が先客としていて、お巡りさんに何やら訴えている。
どうやら町の揉め事らしい。
ちょっと待つか？と、入り口で躊躇していると、どうやら話しを切り上げるきっかけを待っていたらしいお巡りさんが「何か御用ですか？」と、話しかけてきた。
私が「ゴミの不法投棄は警察の管轄ですか？」と言うと、「そうとも言えるし、そうでないとも言えますが、とりあえずお話しを伺いましょう」と、ムニャムニャとした感じである。
老人達は席を移動して、何だか面白そうだという顔つきでお巡りさんと一緒に私の話を聞きだした。
そこで、持ってきた資料（仕事のときと同じで皆に見せるのを一部、自分で説明する用のものを一部持ってきていた）で説明を始めると、たちまち皆熱心に聞きだした。
こういうときは、仕事で顧客の前でプレゼンするのに慣れているのはありがたいのである。
すぐに奥の方から数人の警官も出てきて、投棄されたゴミの写真やら、ゴミから回収した住所の書かれた紙などを熱心に見るようになった。
そして、監視カメラの映像の話になると、写真を見て「オォ〜、バッチリ写ってますね〜」と盛り上がってきた。
すると、話の途中でお巡りさんの一人が電話をかけはじめ、私の住所とか氏名、今日廃棄されたゴミの現物がまだあるか？とか、イロイロ確認をしてきた。
どうやら実働部隊のマネージャーに連絡を取っているのである。
老人達もその動きを見て熱心になり、そのうちの一人は「私も以前、同じようなことで相談したのですが・・・・そうですか、こういうふうにまとめれば警察も動いてくれるンですね〜」と、監視カメラの性能とか値段の話を聞きたがる。
お巡りさんは電話を終わって、私に「今から刑事がお宅に伺いますので、今の話しをもう一度お願いします」と言い出した。
どうやら何かやってくれそうなのである。
※刑事さんと話をする。
実働部隊は「生活環境課」という部署だそうで、家に帰ってしばらくすると乗用車に乗った刑事さんが二人来た。
二人は早速、今日廃棄されたゴミや周辺の状況の写真を撮ったりしている。
聞くと、やはりゴミの不法投棄はかなりあるそうで、しかも私が想像するよりもずっと悪質なようである。
たとえば、ゴミの投棄を現行犯で捕まえても「ここはゴミを投棄して良い場所だと思っていた」などと言うのはごく普通で、ちょっとでもタイミングがずれれば「私ではない、私だという証拠を見せろ」などと言うそうである。
私の家のようにゴミ箱を設置した場合には、「この場所は個人のゴミ箱なので、この家の住人意外は廃棄してはいけない」などということを大きく掲載しておかないと、「ゴミ箱にゴミを廃棄して何が悪い？」と、開き直ってくるそうである。
こういうことを聞くと、今回警察が動いたのはやはり「ゴミを廃棄している動画で、誰が見ても本人だと判るものがあるからだ」ということが判る。
とにかく「何も知らない」、「自分ではない」と言い張るようなのである。
確かにニュースを見ていると、人をはねてフロントグラスが大きく割れているような状態でも「知りませんでした」とか、「全く気が付きませんでした」と言うような連中が多いようなのである。
思わず首根っこを掴んで「これが気が付かないわけないだろう！！」と、揺さぶってやりたい衝動に駆られるのである。
ということで、今回のように対処が可能な情報がある場合でも、けっこう気をつけないといけない状況があるそうなのである。
１、廃棄されたときの犯人の映った動画は、可能ならばその日のものが望ましい。
私が撮影した動画の写真を見せると、可能ならば今日の動画も欲しかったという話になったのである。
これに関しては私も全く同感なのである。
２、廃棄されたゴミはそのままの状態の方が良かった。
私は今日廃棄されたゴミを残しておいたのだが、一応内容を確かめるために内容物を広げてしまっていたのである。
刑事さんの話しでは、可能ならば全く手を付けずにそのままの状態のものを見たかったようなのである。
確かに、手を付けているということは、悪意ある人間なら、そのゴミに何かを付け足して犯人により大きい罪をかぶせようとしたりしかねないので、厳密に言えば手を付けてしまうと証拠としての価値は低くなってしまうようである。
私が拾得しておいた個人情報の書かれた物品も丹念に見て、犯人にたどりつけるかという話しになるのだが、やはりゴミに含まれていた個人情報が即犯人の物だというわけにはいかないという話しになる。
確かに、犯人が「私はちゃんとゴミは始末しているので、おそらく悪意のある人が私のゴミを拾って、それを不法投棄しているにちがいない」という言い訳をした場合、それがウソだという証明をしなければならなくなる。
給与明細に事業所名が入っていないのが残念だという話しになったとき、つい「私だったら」という話しをしたくなったのである。
それは以下のような内容なのである。
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給与明細に寮費という項目があるということは、おそらくアパートの借主はアルバイト先の会社のはずなのである。
そして、大抵のアパートにはそのアパートを管理している不動産会社の連絡先が書かれているので、そのへんから事業所も探れると思っていたのである。
実際に、このアパートには思ったとおり、管理会社の連絡先が書かれた看板が出ているのである。
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ただ、こういう「こうすれば成果が上がるかもしれない」ということを、素人が専門家に提言するというのは実に微妙な反応を引き起こす場合があるので注意が必要なのである。
人によっては、「何も判らない素人にあんなことを言われたからには絶対にしない！！」という人もけっこういるのである。
指示するような印象はもってのほかにしても、提案するというような印象を持たれるのも基本的にはマズイ結果になることが多いのである。
そこで、たとえば私が専門家相手（顧客だったりする）に「ＸＸ」という作業をやってほしい場合に一番多く使うテクニックは、「私はＸＸすれば良いような気がして、ちょっとやってみたのですが、どうも素人にはうまく行かないようで諦めました」というような言い方をするのである。
すると相手は、「ワッハッハ！！、そうだろうそうだろう、そういう事は私達に任せなさい！！」などと言ってやってくれることが多いのである。
今回はそれほど露骨で見え透いたことは言わなかったのだが、まぁ、ちょっとだけそんな感じのことを言ったりしたのである。
そして、刑事さん達は、不法投棄されたゴミを証拠物件として全て回収し、私の作った資料やら個人情報の書かれた書類を全て持って「これからこのアパートに行ってみます・・・・何か成果があったら連絡します」と言って去って行ったのである。
※とうとう解決？
夕方何時頃だったろうか、刑事さんから私の携帯電話に連絡があった。
聞くと、私が集めた資料の人と接触出来て話しをしたそうなのである。
そして以下のような状況だということなのである。
１、そのゴミ（今日投棄されたゴミ）は、自分の出したゴミだと認めた。
２、投棄したのは自分の家に来た友人だと認めた。
３、警察がその友人に連絡をしたところ、今までのゴミの廃棄を認めた。
４、警察はその友人に始末書を書かせることにした。
５、残念ながらこの程度の案件では始末書程度であり、事件には出来ない。
私はいくつかの質問をしたのだが、さすがに警察は答えてくれなかったのである。
結局私が突き止めた個人はそのアパートの住民だったのか？とか、女性だったのか？とか、廃棄した男性は何処の何という人なのかは教えてくれなかったのである。
ただ、この日以来ゴミの投棄は起こらなくなったし、何らかの嫌がらせも発生していないので、まぁ良い解決だったようである。
結局、肝心の情報は警察は教えてくれないのだが、私はほぼ確信しているのである。
１、ゴミに入っていた個人情報の人はその部屋に住む女性である。
２、時々ボーイフレンドが遊びに来て泊まっていき、ボーイフレンドが持ち込んだコンビニのお菓子とかジュースを、ボーイフレンドが帰りがけに私の家に放棄していた。
こういうシナリオだと全ての辻褄が合うのである。
一番最初に感じた、「コンビニの前にタムロしている高校生が、帰りがけに放棄していくのかな？」というのもあながち完全な的外れとも言えないのである。
精神年齢が高校生程度の若者が、コンビニで買ったものを部屋でタムロして飲み食いし、そのゴミを帰りがけに私の家に放棄していたということだったのである。
今回の騒動で、よく判ったことがいつくかあった。
１、私はやっぱりこういうトラブル対処の仕事が好きなのだということ。
以前も顧客との雑談で、仕事で起こったトラブルの話していたら、顧客の人に「本当は筆無精さんは結局トラブルが大好きなんでしょ？」などと言われたことがあるのである。
なんでそんなことを言うのか聞くと、どうやら私はトラブル対処をしている最中が一番生き生きと動き回るようなのである。
今回も、「ゴミの不法投棄をどう解決するか？」という命題を、調査、分析、対処方法を計画、実行、結果のまとめ、と一連の作業をやっていて、意外と楽しかったりしたのである。
もちろんゴミの不法投棄は無い方が良いに決まっているのだが・・・・
２、自分がもう爺さんになってしまっていることに気が付いたこと。
今回、監視カメラを設置してその画像を毎日確認していたのだが、当然ながら自分自身もその映像の中に写りこんでくるのである。
その動作、顔付きを見て愕然としたのである。
一瞬、「この爺さんはいったい誰だ？」と思うような老人の顔をするときがあって、思わず「ひょえ〜！！」といった感じなのである。
もちろん、私も鏡はしょっちゅう見ているのだが、正面ではなく客観的に自分の動作を外部から見ると「見紛うことなき老人」といった感じでなんだかガッカリしてしまったのである・・・・・トホホ！！
以前、親父が目が見えなくなって不自由だということで、白内障の手術をして目がよく見えるようにしたのである。
そうしたら親父は喜ぶどころか自分の顔を見てガッカリして軽いウツ状態に陥ったことがあったのである。
なんだか今回はそのときの親父の心境がよく判るような気がしたのである。
３、やはり人間は見た目だということ。
今回の不法投棄のことは、よく行く銭湯で愚痴半分としてよく話しをしていたのである。
特に番台に座っているＫさんとか、その友人でもあるＳさんなど、４０歳代半ばのバブル女子（バブルの頃遊びまくっていた女性達）にも話しをしていたのである。
当初は彼女達は「本当に突き止められるの？」という半分からかい気味の雰囲気だったのだが、私がだんだん犯人の実像に近づいて行くと「そんなことして大丈夫？」といった感じになったのである。
彼女達の感覚では、そもそもゴミを不法投棄するような不法な男なのだから、突き止めたりしたら何をされるか判らないという恐怖の感覚だったようなのである。
ところが、私が仕掛けた監視カメラに映った犯人を見せると一転、何故こんな良い男がこんなことをするのか？ということになった。
そしてついに警察に通報して始末書を書かせたという状況になる頃には、完全に私は悪者になってしまったのである。
Ｋさんは「この人の一番の失敗は、ゴミをよりにもよって筆無精さんの家に捨てたことよネ〜」などということを言い出したのである。
Ｓさんも「ほんとほんと、筆無精さんみたいにシツコイ人のところに捨てるから突き止められて警察まで出てきちゃうのよ！！」と、完全に私が悪者である。
人はなんといっても見た目が全てだとつくづく思ったしだいだったのである。
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